こんにちは、sakuです。
大きな美術展って、大体近代絵画なら近代絵画の展覧会、仏教美術なら仏教美術の展覧会という風にジャンルや時代ごとに分けられて展示されることが多いと思います。それはそれで、そのジャンルや時代の雰囲気がよく味わえるし、特徴がよくわかって良いのですが、たまには変わった視点からも見てみたいなーと思ってしまいます。今回は、そんな人におすすめな展覧会を紹介したいと思います。
「上原美術館」ってどんなところ?
上原美術館は、2017年に上原近代美術館と上原仏教美術館が1つになって作られた新しい美術館です。大正製薬株式会社の名誉会長である上原昭二氏のコレクションを中心にした近代館と、大正製薬名誉会長を務めた上原夫妻のコレクションを中心にした仏教館の2つの建物から成っています。また、展示だけでなく、デッサン教室や日本画教室、写経教室など一般の人向けへの教室も行っているようです。
仏像と近代絵画に共通する“かたち”に注目した展覧会!
「すがたうるわしー仏像と近代絵画の出あいー」のテーマは、“かたち”です。仏像のたおやかな姿と、近代絵画のやわらかな線が共通してもつ“美しいかたち”をジャンルを超えて紹介する展示ということです。
仏像の展示では、新収蔵、初公開の薬師如来坐像が見られる!
仏像の展示では、新収蔵、初公開の薬師如来坐像が見られるということです。こちらの薬師如来坐像は、大仏師・定朝(じょうちょう)の作風を次ぐ作品ということです。定朝は、平安時代後期に活躍した人で、藤原道長から庇護を受けた人物です。それまで、仏像は1本の木を彫って作られていたのですが、定朝が寄木造りを考案したことにより、仏像制作に分業体制を導入し、時間短縮や巨像の作成を容易にすることに貢献したという功績があります。文献上は、定朝作と言われている作品は多数あるようなのですが、現存する作品は、京都・宇治にある平等院鳳凰堂の本尊である阿弥陀如来坐像のみのようです。また、「定朝様(じょうちょうよう)」というその後の仏像のデザインの手本となるものを作った人としても有名な人です。今回、展覧会で公開される薬師如来坐像も定朝の作風を継ぐとあるので、恐らく定朝様の特徴を備えている作品ということなのでしょう。定朝様には、明確な定義はないようなのですが、満月のような丸い顔や衣のシワの数などが特徴としてみられるそうです。
近代絵画は、ルドンや鏑木清方の絵画が見られる!
一方で、近代絵画は、オディロン・ルドンや鏑木清方(かぶらききよかた)の絵画が展示されます。オディロン・ルドンは、フランスの画家でモネなどを輩出した印象派の画家と同時代に生きた人物ですが、ルドン自身は印象派には入らずに独自の感覚で絵画を描いています。有名なのは、モノクロで目玉が描かれた絵ですが、晩年には色を使って華やかな絵も描いています。
それに対して、鏑木清方も大きな派閥を嫌い、家族との時間を大切に過ごした画家のようです。鏑木清方は、父親が経営していた新聞社の挿絵画家として始まり、後に庶民の生活や美人画で有名になった画家みたいです。
まとめ
全く異なるジャンル、時代のものが同じ場所で見られるということで、仏像は大好きでよく見るけど…という方、反対に近代絵画は大好きでよく見るけど…という方も行ってみると、自分の好きなジャンルの新たな魅力が発見できたり、新しいジャンルの良さが発見できたりするかもしれません!
仏像とルドンや鏑木清方の絵画にどのような共通点があるのか、自分の目で見て見つけるのがおもしろそうです!
同時に近代館では、「風のささやき、水のゆらめきー絵に描かれた美しき風景ー」という展覧会も開催されているので、併せて見るとより楽しめると思います!
お店の情報 | |
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会期 | 2018/5/26(土)〜9/17(月) |
開館時間 | 9:00〜17:00 (※入館は閉館時間の30分前まで) |
休館日 | 会期中無休 |
入館料 | 大人1,000円 / 学生500円 / 高校生以下無料 |
住所 | 〒413-0715 静岡県下田市宇土金341 (駐車場有り) |
Web Site | 上原美術館 |